外国人さんのお友達をメールで探す方法

(筆者より)
2000年頃の執筆ながら
今日にも通じるものが多々ありそうです

1996年にマルチリンガルネットワークを発足
長い経験と人脈をもとに
今は合同会社JEXPOの代表社員をしています

参考になれば幸いです

 


0.はじめに(わたしの個人的経験から)
「海外のメールフレンドがほしい」
でも、海外の人なら誰でもいいというわけではなく、いろいろ希望があるはずです。

できれば異性がいい、いや女性同志がいい、同年代の人がいい、日本語が通じる人がいい、外国語を丁寧に教えてくれる人がいい、真面目な人がいい、遊び相手がほしい、アニメファンはいや、共通の趣味をもつ人がいい、同じ職種や専攻の人がいい、すぐ「写真を送れ」という人はいや、そして、わたしのことをわかってくれる人がいい….。

しかし、いろいろ望めば望むほど、わたしにぴったりという相手がなかなか見つからない、ということになってしまいます。また、ただ漠然とメール相手がほしい、と思っている人もなかにはいて、こういう場合は、どういう人が自分とあうのかわからずに困っているというケースも多いようです。このページにたどり着いたみなさんの多くに、思い当たる節があるのではないかと思います。

しかしそれでも、「わたしにあう人が世界のどこかにはいるはず」という気持ちも、またなかなか捨てきれないものです。じゃあ、「わたしにぴったりと思える相手を見つける方法はないか?」と考えた時、わたし個人の経験からいえるお答えは、「ある程度の効果的な方法はある」です。

そもそもわたしは、世の中の役に立つために、などという発想でマルチリンガルネットワークをはじめたのではありません。ネイティブから外国語でどんどんわたしにメールが来るような環境をつくれば、そのうちいろんな言葉を覚えられるだろう、そういう気持ちではじめたのです。そのなかから、「この人」という人を見つけて、メール交換すれば、自分の外国語の能力も伸びるかも知れないし、楽しそう。そう思ったわけです。変わり者のわたしでも、世界のどこかには、自分と馬があう人がいるかも知れない、そう思ったわけです。

ひょっとしたら、わたしのことを外国語のスペシャリストであるかのように思う方がいらっしゃるかも知れません。それは、全くの誤解です。サイトにメッセージを書く方のなかには、わたしより外国語ができる方がたくさんいらっしゃいます。わたし自身、本職を別にもつそこそこ忙しい社会人でありまして、そんななかでも「外国語を効率よく実践的に無理なく習いたい」という気持ちが強くあり、そのためには、外国人と直接メールをやりとりするのが一番、と思っていたのです。

おかげさまで、わたしはこれまでネイティブとずいぶんメール交換をしてきました。「自己紹介からはじめるメル友探し」みたいなものは、もうやりつくした感があります。今のわたしにとっての語学実践は、サイト活動を手助けしてくれる外国人のみなさんとのメール交換や利用者からの問い合わせへの対応などが主体です。結果として自分の意思を適切に伝えたりしなければならない場面が増え、語学レベル的には以前より少し高いレベルに挑戦できていると思います。

インターネットが普及してからそこそこの年月が経過した現在、インターネットを「使いこなしている」レベルは人それぞれにさまざまです。その程度差は日ごとに拡大していると思います。「外国人とメールなんて考えられない」、「掲示板に書き込みなんてしたことない」という方から、「すでにメール交換したことがある」、「語学学習ツールとして積極的に活用している」、「実際メル友と会った」、「つきあった、結婚した」まで。

そんななかで「メール相手探しのコツ」は、どのような方々を対象として書くべきか、悩ましいところではありますが、比較的「まだそれほどインターネットを積極的に利用していない」という方々を主たるターゲットとしています。そしてあわせて、その他の方にも「何か新しい発見」があればと思います。
1.ネイティブとメール交換するメリット
ネイティブのメール相手探しについて話す前に、ネイティブとメール交換すると、いったいどんないいことがあるか、わたしの経験を通じてお話したいと思います。

そもそも、わたしがmultilingual networkをはじめた理由は、「安くて外国語を勉強できる環境をインターネットでつくりたい」という気持ちからでした。他の人のためではなく、「わたしのため」でした。外国語学校などに通えば、外国人が先生、日本人が生徒、ということになりますので、生徒はどうしても授業料を払う必要があります。しかし、外国人が日本人に外国語を教え、そのお返しに日本人が外国人に日本語を教えるようにすれば、どちらも先生であり、生徒であるわけですから、授業料が相殺される、つまりただになるわけです。加えて、お互いの立場が対等であることは、自然に外国語を身につけるという点において重要な要素でもあります。こりゃあいいや、とわれながら思ったものです。

また、メールというツールは、語学習得において、ものすごい威力を発揮します。それは、メールというものが、基本的に「自分の気持ちを伝えるため」のツールであるからです。外国語学校で習ったことがある方なら、お気づきの方も多いと思いますが、「テキストでの学習」や「会話の練習」などでは、どうも「気持ち」が入らないものです。これは、テキストや会話に設定してあるシチュエーションがどうしても自分に対してリアリティを感じさせないためで、その場面に出くわした時、そもそも自分が何がいいたくなるのか、あるいは、いわなければならないのかが頭に浮かばないために、気持ちが入らないのです。

しかし、メールをはじめると、「○○だと思います」、という言い回しが頻繁に必要になってくることが実感できるはずです。これまで外国語でやりとりしたことがないという方は、自分がこれまでに日本語で送受信したメールを見返してみて下さい。「思う」という単語がすごくたくさんあるはずです。メールは、あなたと相手しかいない「気持ちのやりとり」なのです。

「これは本です」という事実表現ができても会話のやりとりは何も成立しませんし、「映画が好きです」と述べただけでは、会話は発展していきません。そこから先、自分の「気持ち」をこめて「思い」を伝えること、がやりとりを成立させるきわめて重要な要素になるわけです。ですから、メールでのやりとりは、とても外国語表現の練習になるのです。

逆に相手の問いかけに戸惑うこともあります。ネイティブから「わたしは日本の武道に興味があるんだけど、教えて」といわれても、返事に窮する人が多いでしょう。 しかし、そこであなたが何らかの気持ちを答えられない限り、やりとりは成立しません。例えば、「申し訳ないけど、わたしは武道にはあまり興味がないし、あなたに話してあげられる話もありません、云々」という「自分の気持ちを伝える表現」を探す必要があるわけです。また、たどたどしい外国語でも、それに近いニュアンスを自分の貧弱なボキャブラリーのなかから表現する練習をしなければならないのです。しかし、このくり返しこそが、少しづつ自分なりの表現能力を高めていくことになるのです。「自分の気持ちを伝えなければならない」というのは、きわめて大袈裟ですが、ある意味では「海外で生活していて、話していかないと生活していけない」のにも似た状況になります。世間一般にいわれるように、「外国語を習うには、現地で生活するのが一番」に少し似た状況が、我が家のパソコンで実現できるのです。

幸いなことに、メールのやりとりでは、現地生活とは違い、時間を置くことができます。自分の考えをいろいろ整理してから、返事をかくことができるのです。これは、海外で生活する
際の切迫感がない上に、マイペースで外国語を勉強できるので、とても重宝します。

まだ外国語初心者の方には、少し大変かも知れませんが、メール相手も日本語初心者なら、お互いとりあえず自分の母国語で書けばいいのです。それで、どうしても意思疎通ができないなら、それはメール交換をあきらめないといけません。でも、そしたらまた違う相手を見つければいいのです。それをくり返していくと、いつの間にか、簡単な挨拶文や自己紹介くらいは少しずつ身についてくるはずです。最初は、「この表現通じるのだろうか」とかばかりを気にしていたのが、そのうち、ネイティブから返事をもらって、自分の言い回しが通じることに喜びを覚え、しだいに自分のものにしていく、そんなプロセスを踏んでいきます。これはわたし自身が経験してきたことです。あるいは、しばらくコンタクトしていなかったネイティブがいつの間にか、日本語がだいぶしゃべれるようになっていて驚いた、という例もわたしはたくさん見ています。ちょっとずつ、気がつかないうちに、そんなにお金をかけずに外国語を覚える、そのためには、ネイティブとのメール交換ほど効果的で簡単なものはないとわたしは思います。

話は変わりまして、外国人と直接コンタクトがとれるということは、それ自体が、素直に「驚き」です。「世界のどこでも同じようなもんなんだなあ」と感心することもあるし、「やっぱり日本ってそんなふうに思われているんだ」なんて感じることもあります。そしてやっぱり、ネイティブのメールフレンドがいるというのは、なんとなく「かっこいい」ですよね。

なかには、単なるメールのやりとりを通り越して、遠距離恋愛みたいになっている人たちもいるし、実際に海外旅行の時に会って来た、ついには国際結婚したなどという話も伺います。まあ、そのへんの話になってくると、みなさんそれぞれの判断におまかせすることでありますから、この場での深入りはやめておきましょう。

きわめて個人的な理由ではじめたmultilingual networkですが、今では、時折、海外の方から、感謝のメールをいただいたり、活動への協力を申し出ていただいたりしています。こういった声援や反響などがわたしの活力源になっています。さらには、そういうことを通して、多くの人たちの役に立っている自分、あるいは世界・社会のなかでの自己のアイデンティティというものを自覚することができます。

日本のサイトのなかだけをうろうろしていて、何か満たされないものをお感じの方には、うちのサイトはお薦めです。メールのやりとりを通して、「人間と人間とのやりとり」の原点というものを再認識し、そのなかに新しい喜びや感動を見つけることができると思います。また、その延長として世界のどこかにつながる自分、世界の誰かに喜んでもらえる自分というものをきっと発見できるのではないかと思います。

2.メッセージを「書く側」と「読む側」との決定的違い
さて、いよいよメール相手探しの本題に入るわけですが、その前に、メッセージを「書く側」と「読む側」との決定的違いについて少しお話しておきましょう。

いわゆる「出会い系サイト」では、メール相手を募集するメッセージを「書く側」とそれを「読む側」とに分かれます。multilingual networkは、<a
href=”/laws/”>法的には「出会い系サイト」ではありませんが、わたしの本意ではないにしても、世間的には出会い系サイトに見られることもあるようです。

ここで、メッセージを書く側と読む側の関係を見てみましょう。「読む側」は、たくさん登録されているメッセージのなかから相手を選んでメールできますから、この点で「選択権」と「主権」があるような感覚を覚えがちです。しかし、これは勘違いです。

これを確認するため、統計的に見てみましょう。multilingual networkの場合、サイトを訪問した人が100人いたとすると、そのうち自分のメッセージを書き込む「書く側」は、わずか2%程度(日本人)です。これは、サイトのトップページだけを見ただけですぐに他のサイトへジャンプした、という人は除いた数字です。つまり、残りの圧倒的多数は、他の人のメッセージを読みに来る「読む側」です。そしてこの傾向は、日本人がとくに顕著です。

現実に、メッセージの書く側の日本人は、ふつう相当数のメールを受け取っています。外国人の場合は、「たくさんもらう人」と「まったくもらわない人」の差が顕著なようです。つまり日本人の「読む人」の多くは、「同じ外国人」をメール相手に選びたがる傾向があることがわかります。「人気者の外国人」は、返事はとてもみんなには書ききれないので、「これ」という人を選んで返事を書いているケースが多いはずです。メッセージ主にメールしたけど返事をもらえなかった、という経験をした人も多いでしょう。そう、つまり、「選べる立場」にあるのは、実はメッセージを書く側なのです。「読む側」の人が、「書く側」の人に、「友達になってあげてもいいよ」みたいなノリでメールしようものなら、勘違いも甚だしいことです。「読む側」の人は、「書く側」の人が、ちょっとばかりの勇気と好奇心をもって自己紹介をサイトに公開したことを尊重しないといけないし、そのことに感謝してメールすべきだと、わたしは個人的に思います。

このことを考えると、「いい相手探し」の最大のポイントは、メッセージ主になること、つまり「書く側」になることだといえます。また、わたしも、「読む側」より
むしろ「書く側」のみなさんの権利や自由意志を尊重したいと考えていますし、また、「書く側」のみなさんの方が、よりわたしと通じ合う気持ちをもっているように思います。

「読む側」オンリーの方のなかには、投稿してあるメッセージだけで判断して、「自分にぴったりの人はいない」と思う人もいるかも知れませんが、それは誤りです。「サイトに書かれたメッセージ」は、十人十色の全来訪者数のうちのほんの1/30から1/50程度に過ぎないのです。「書く側」になってみてはじめて、いろんな読者がいること、そして
そんな人たちからメールをもらうことを実感することになるでしょう。

「書く側」は「読む側」から届くメールを「選べる立場」にあります。また一般的な話として、あなたが「この人にメールしてみようかな」と思うなら、他の読者もそう思うものです。人気者にはメールが殺到するのです。したがって「書く側」は、たくさん届くメールのなかから、相性的なことはもちろんのこと、日本語を教えてくれそうな人、ちゃんと自国語をしゃべれる人、そういった人を優先的に選んで返事すしようと考えるはずです。実際にわたしが会った外国人からもそのような話を聞きました。そうしますと、まだたどたどしい外国語しかしゃべれない人は、無事ネイティブの相手を見つけられるという可能性は、相対的に低いといわざるを得ません。ですから、まだ初心者の方であればあるほど、「書く側」に回って、「選ぶ側」に回ることをお勧めするわけです。

とはいえ、いきなり「書く側」になるといっても、不安もあるなあ、という方がやはりいらっしゃるでしょう。とにかくは、まずは書いてみること、をお勧めする訳ですが、それでもまだ踏み切れないというみなさんのために、「読む側」の立場からの相手探しについて、先にお話しましょう。

3.「読む側」の立場での相手探し
a) メールは人気者に集中する
前章で、「メッセージを書く側」は「メッセージを読む側」を選べる立場にあり、「書く側」の人気者には、読んだ人からのメールが殺到するという話をしました。ならば、「読む側」で考えられるのは、人気者は避けたうえで自分の相手を探すという方法が考えられます。あるいは、「この人にはメールが集中しそう」とわかっていれば、その相手にメールを送るときに自分なりの工夫ができるでしょう。

メッセージを掲載している外国人のうちで、日本人からメールをたくさんもらう人は、「日本語がしゃべれる人」「女性」、「日本(東京)在住の人」、「写真を載せている人」、「年齢を明記している人」でしょう。

「日本語がしゃべれる人」にメールが殺到するのは当然です。そういう人はやはり稀少ですし、外国語にまだ自信がない方にとっては、格好の相手と判断するからでしょう。ただ、その人が日本語が達者だからといって、日本語を読んだり書いたりすることが全く苦でないか、というと、ほとんどの人がそうではないはずです。送るメールに日本語を含めるのはかまいませんが、「あなたの国の言語も勉強したい」という意志を伝える上でも、相手の言語をまぜてメールを送る
といいでしょう。また、multilingual networkのサイト上で日本語かな漢字で自己紹介してあるからといって、メールでも確実にかな漢字を送受信できるかというとこれは別問題ですから、最初のメールは、かな漢字とローマ字表記(必ず半角で)で併記すべきでしょう。より丁寧にいえば、メールの前半部をまずローマ字にし、そのあとにかな漢字を書くべきです。

なお、「日本語がしゃべれる人」同様に、英語でも自己紹介メッセージを書いている外国人、あるいは、「英語もOKです」と案内している外国人にも、人気が集まる傾向があります。この理由もおわかりですね。

「年齢を明記している人」にもメールが来やすいようです。これは何も「若い人」に限りません。要は、多くの人が「自分と同年代の人」を探しており、同じくらいの人生経験を積んだ者どうしで話がしてみたい、やっぱり話があうのは同世代、という意識があるためと考えられます。multilingual networkが、国内外ともに広い世代の方に利用いただいているということの現れでもあります。

b) 「相手も女性がいい!」という願望
自己紹介メッセージを載せた「外国人女性」にもメールが来やすいようです。これは、日本人男性が外国人女性にアプローチしていることももちろんですが、あわせて、日本人女性からのメールが多くなっているためです。この傾向は、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語で顕著で、アジア系言語ではあまり見られません。

日本人女性の「書く側」のメッセージには、時々、メール希望相手を「女性に限定」していらっしゃる方を見かけます。日本人の女性には、「相手も女性がいい!」という
方が相当多いのかなと思います。

では一方で、外国人女性の「書く側」のメッセージはどうでしょうか?メール希望相手を女性に限定いるケースは、ほとんど皆無です。とある外国人女性の方の場合ですが、メッセージを出したら、来るメールすべてが女の人からでちょっとうんざりした、という話を聞いたこともあります。総じて、「相手は女性がいい」という願望は、「日本人女性側からの片思い」的な要素もあるようです。

かつては、外国人女性の掲載メッセージもそう多くはありませんでした。ですから、オフ会などで実際に日本の女性の方に会って話を伺うと、ほとんどの人が口をそろえて、「女性同志でメーしたいんだけどなかなか見つからない」と言っていたものです。

しかし最近は、外国人女性のメッセージ投稿も大変多くなりました。「読む側」が外国人女性のメール相手を探すチャンスも劇的に増えています。「女性の相手を探す女性」の方、がんばってくださいね。

c) 相手は日本語ができる人か?
メール相手を探す上で、どうしても気になることとして「相手は日本語ができる人か?」ということがあります。自己紹介文を読めば一目瞭然という場合もありますが、実はもうひとつ見分けるポイントがあります。

「あまりにちゃんとした日本語が書かれている」ケースがたまにあります。もちろんその方が日本語に堪能であるという場合も充分ありえますが、前後の文脈からしてどうも不自然という感じがすることがあるかも知れません。こういう場合は、Google等の機械翻訳をお使いの可能性もあります。

d) 外国人の好み、日本人の好みのすれ違い
外国人が日本に対して興味をいだいている点、日本人が外国に対して興味をいだいている点、その間には、おおにしてズレがあります。外国人が日本に対して興味をもっているものといえば、アニメ/マンガ/ビデオゲームの類、武道(特に空手、柔道、合気道、剣道)、生け花/茶道、禅/仏教/神道など、いわゆる日本固有のものに対する関心が強いと思います。一方で外国人とのコンタクトを望む日本の方がこういった点に関して関心があるかといえば、NOであるケースが多いと思います。相手にメールをしたら前後の文は全く無視されて、「あなたはマンガは好きか?」と聞かれて閉口したなどという話はよく聞く話です。かれらにとって、こういう話題で盛り上がれる日本人相手を見つけられないというのは、残念なことであるでしょう。また、「日本生まれのものなのにどうして?」となにか解せないものを感じることなのかも知れません。

その他にはJPOP(概観するとヨーロッパではアーティスト系、アジアではアイドル系が人気)、日本映画(北野武、黒澤明、小津安二郎など)、日本文学(吉本ばなな、村上春樹、三島由紀夫など)、日本料理といったところも多く、このような場合であれば、お互いの接点を見つけられるケースも多いと思います。

一方の日本人が外国の何に関心をもっているか、ですが、確かに文学とか映画とか料理とか観光地とかいろいろあると思います。ただわたしが思うに、「その国におけるものの考え方や生活スタイル」というものに関心が強いように思います。ごく日常の場面での買い物だとか、職場や学校での仲間同志の何気ない話、そんなシーンから伝わってくるその国らしさ、そんなものに関心があり、またある意味憧れを感じているのではないかと思います。つまり「その国に住む普通の人がどんなふうに考えどんなことをやっているか」ということです。そういった感じを最初の自己紹介などでも伝えたいのだけど、どうもうまく伝わらない、そういうケースが多いのではと思います。

では逆に、外国人が「日本に住む普通の人がどんなふうに考えどんなことをやっているか」について強い関心をもっているか、ですが、そう多くはないだろうと思います。日本人のなにげない日常生活というものは、外国人にとって、たしかに「個性的」「異国的」であるかも知れませんが、はたして「魅力的」かという点では、われわれ日本人が、胸をはって「魅力的です」といいきれない部分があると思います。どこかの外国人作のホームページで「日本の電車の冷房は強すぎる」とか「昼間車の中で寝ている外回り営業の日本人は嫌いだ」なんていう記事を読んだことがあります。このレベルまで日本のことを熟知している方とのメール交換はきっと楽しいだろうと思います。しかしこれらは、「日本に独特」の様子を洞察力するどく観察しているのであって、日本の「魅力的」側面を紹介しているのではありません。日本におけるひとりひとりの日常生活が、外国人の目からしても「なんとなく魅力を感じさせる」ものとならなければ、「日本の日常をもっと知ってみたい」と考える外国人は残念ながら増えてこないでしょう。「どうして日本好きの人ってアニメ好きのばかりなんだろう」と嘆く前に、「じゃあアニメ以外に日本に関心対象となるものに何があるのだろう?」と考えてみると、われわれ日本人ひとりひとりの日常生活の営みのなかにも課せられている課題というものがあるようにわたしは思います。

e) 「書く側」に送るべきメッセージの中味
メッセージを載せた外国人にメッセージを送ったからといって、必ず返事がもらえるとは限りません。そんななかで、「あなた」に返事を書いてもらうためにも、ぜひとも書いておいた方がいい
ことがあります。それは、「あなたがなぜその外国人にメールしようと思ったのか」、あるいは「あなたはその外国人のメッセージに対してどういう感想をもったか?」ということです。あなたの自己紹介は二の次です。

サイトに自己紹介を掲載する外国人は、みんな「自分のメッセージに対して日本人がどのような反応を示すのか」を知りたいわけです。そんな反応を見ながら自分と相性のよさそうな人、そうでない人を判断するわけです。インターネットでは、みんな発想が「自己中心」であり、目的は「自己実現」なのです。ですから、あなた自身の自己アピールよりも、「相手をどう思ったか」ということの方が、より相手が知りたがっていることなのです。自分がもしサイトに自己紹介メッセージを載せて、送られてくるメールを待っている時のことを少し想像してみましょう。他人の自己紹介が書かれたメールをもらうより、「あなたのメッセージに○○とありましたね、実は….」という内容の方がはるかに印象的なはずです。

また、あなたが「相手をどう思ったか」という文章は、イクオール、あなたが相手のメッセージをちゃんと読んだという証になります。反対に、あなたの自己紹介だけのメールであれば、極端な話、それをコピーして他の外国人にも送ることができます。つまり、メールの受け手にとっては、受けたメールが「わたしだけに送付されたメールなのか、たくさんポスティングしているメールのひとつに過ぎないのか」が判断できないのです。仮に宛名が自分宛てになっているからといって、宛名だけすりかえるなんて意図も簡単です。他の部分が自己紹介だったり、ありきたりの文章だったら、「同じ文章を使いまわしている」と受け取られる可能性は高いと考えてよいでしょう。そのようなメールは、はたして自分のメッセージをちゃんと読んだ上でのメールであるのかさえ疑問なのです。ですから、そう思われないためにも、「相手をどう思ったか」という感想がきわめて重要なのです。

少し余談になりますが、メール相手探しに限らず、インターネットで相談をしたり、問い合わせをしたりする必要がある時、面識のない人にメールしたり、書き込みフォームに書き込んだりすることがあると思います。こういった時に、「○○資料希望」とか「○○について教えて」とただ単に書くよりは、「サイトの維持管理ご苦労様です」とか「いつもサイト利用しています」とか「○○なサイトですね」などとひとこと付け加えた方が、より丁寧な返事をいただける割合がはるかに高くなるでしょう。この手のメールでも書き込みフォームでも、その送付先で受け取ったものを読むのは人間なんです。相手なんです。この感覚は全く理解できていない人が多いように思います。わたしにも、たまに一方的に「○○希望」などとメールで頼まれることがありますが、概していい気持ちはしません。メールを送ると「機械が返答をよこしてくれる」「機械的に対応してくれる」といわんばかりの無機的なメールは、まるでメールの送り手がわたしという機械に対して命令しているようで、わたし自身はご免です。

4.「書く側」の立場での自己表現
a) 「書く側」になるかならないか
前章までを読んでいただいて、すでに、「書く側」になることを心に決めた方は、この「書く側になるかならないか」は読む必要はないと思います。一方、まだ迷いや不安をお感じの方には一読をお勧めします。

不安の要素は、大きくはふたつあろうかと思います。ひとつは、インターネット一般にいわれるハッカーやストーカー、個人情報の漏えい等に関する不安。そしてもうひとつは、外国人と接すること自体に対するいったいどういうことになるのか想像がつかない、という不安。

前者に関して、わたしはこの場で、「インターネットは安全だ」とか「心配はいらない」とかそういうことを申し上げるつもりは毛頭ありません。たしかにハッカーやストーカーなどの心ない人間が国内外にいるのは確かです。「メッセージをサイトに書く」ということにより、何らかのトラブルに巻き込まれるという可能性は決してゼロではありません

しかしわたしは、インターネットには、もっと日常レベルのトラブルというべきものが多数あると思います。これらのトラブルは、インターネットの利用者みんなが、基本的に自己中心的に、そして自己実現のために動いているために、お互いの「自己と自己」が衝突したり、すれ違ったりするときに起こるものだと考えています。多くは相手との「感性の違い」や「立場の違い」が原因であると思います。そして、このようなことが実際にあると、結構、精神的に疲れたり、参ったりします。ただ単にインターネットをうろうろしているよりは、精神的に
は多少タフさが必要です。この点に不安を強く感じる方は、「書く側」になるのは、避けたほうがいいかも知れません。

一方の後者ですが、外国人と接することへの不安を感じる方は、外国人と接する期待や感動とどちらが大きいものになりそうか、みなさんご自身で自問してみるとよいでしょう。「書く側」のメリットについては、これまで書いてきたとおりです。

これから「書く側」みなさんには、「インターネットの世界は自己責任である」という言葉を捧げます。「書く側」になるとことで、これからすごく楽しいことが起きるかも知れないし、逆につらいこともあるかも知れません。はたまた、何も起こらないかも知れません。しかし、それらはすべて「自己責任」のもとで行われるのです。この一連の記事で、わたしはみなさんに「書く側」になることを勧めてはいますが、本当に「書く側」になるかどうは、結局あなた自身が決めることです。何らかの被害に遭われたとしてもわたしは何の償いもできませんし、する必要もないものと考えています。

「書く側」になることをさんざん勧めてきたわりには、このような厳しい書き方をしました。しかし、それには理由があります。それは、「書く側」になるにあたって、自分自身の意志を再度確認いただきたいからです。この段落を読んでくじけてしまった人は、しばらくはまだ「読む側」をお続けください。あるいは、異論を唱える人もいらっしゃるかも知れません。そのようなみなさんは、少なくともわたしとは違う感性をおもちの方だろうと思います。「書く側」にな
ることは、私個人は歓迎いたしかねます。反対に、「よし、ひとつやってみるか、自分の手で!」と思った方は、ぜひとも以降の文章を読み進めてください。いろいろなヒントをご提供できると思います。

自己責任の意味合いについて、いろいろ申し上げましたが、それは当然のこととして受け止め、そこでまたリラックスした気持ちをとりもどし、そして「とりあえず書いてみよう」、そう思える人は、本当に「書く側」を楽しめる方だろうと思います。

b) 背伸びして外国語を書くのはやめよう
わかりやすい例として、例えばスペイン語ならスペイン語で、日本人の自己紹介メッセージとスペイン語人の自己紹介メッセージを比べてみましょう。日本人の自己紹介は、相手側の言語であるスペイン語が主で、スペイン語人の方は、母国語であるスペイン語が主です。日本人が、背伸びして相手側の言語で自己紹介をする傾向があることがわかります。スペイン語に限らず、どの言語も同じ傾向があります。他の日本人が外国語で自己紹介しているのを読んで、「わたしはまだまだだなあ」と諦める人も多いようですが、世界的に見ると、日本人だけがこんなに「背伸びしまっている」のであって、そちらの方が異常なのです。

兼ねてからご案内しているとおり、「書く側」には相当メールが来るようになります。外国語初心者の方で、「数人とメール交換なんて、そんな能力もないし、とんでもない」、と思う人は、背伸びして外国語の自己紹介をたくさん書く必要はないのです。むしろ、外国語での自己紹介は避け、日本語でたくさん自己紹介し、まだ初心者であるということを相手に伝えるべきです。極端な話、スペイン語ならHolaだけでも構いませんし、もっというなら、韓国語の場合は、カタカナで「アンニョンハシムニカ」でも構わないのです。外国人の多くがそのよう
な自己紹介しているはずです。その方が、あとあと自分自身が楽だからです。さらにいうなら、「外国語でいっぱい書いてメールいただいても、返事できません」と日本語で自己紹介しておけばいのです。

それでもし、多少はやりとりに慣れ、もう少しいろんな人とメール交換したいなと思うようになれば、また文面を少し変え、外国語での自己紹介を増やして、投稿すればいいのです。このステップアップの感覚が大事です。

ひょっとしたら、「下手な外国語を書いたら、外国人はともかく、他の日本人に見つかると恥ずかしい」と思う人がいるかも知れません。しかし、今時の日本人なんて、他の日本人がどうしているなんて気にする人なんてほとんどいませんよ、心配ないです。

c) 年齢や性別を明かすべきか?
自己紹介で、年齢や性別を明記するかどうかについては、一長一短があります。まず年齢ですが、明記した場合、一般に同年代の人からメールをもらいやすくなるようです。相手の年齢がわかると何かと話の切り口が見つかりやすいものですし、国内外ともに、「同年代の人と話がしたい」という人が多いですから、このようなことになるのだと思います。たしかに「20才前後の若い人が人気」という傾向は否めませんが、満足できるメール相手が見つかりましたというメールをわたしに個人的に送っていただくのは、むしろ30代以降の方が多いです。また、日本の年輩の男性などからもイタリアの若い女性とメール交換してます、なんていう話も伺いますので、必ず同年代同志というわけでもないようです。

一方、若い女性の方が、自分が女性であることを示し、かつ年齢を明記したり、写真を掲載したりするということは、あなたがいわゆる出会い目的であると相手に受け止められてもやむを得ないと思って下さい。あなたのメッセージがどのような内容であれ、現実にはもらうメールはほとんどが男性からになるでしょう。しかもその数は相当数にのぼり、サポーター登録すれば、100通を超えるケースも少なくありません。ただもらい過ぎのメールに対して、全く何もしないというのは、正直困りものです。きちんと返事していただくとか、自分のキャパシティをこえる場合にはいったんメッセージを削除していただくとか、それなりの対応をしていただきたいと思います。

最近は、日本の女性の方も、外国人異性との「出会い」が目的であるタイプとそうでないタイプが明確に分かれるようです。たくさんの人と知り合いたい、という方は、年齢や性別を書き、また写真もおのせください。ただ反面、メールのもらい過ぎになることはある程度の覚悟をお願いします。あなたのメッセージに世界中の多くの人が反応したことに素直に喜びを感じましょう。一方で、「わたしは外国語を勉強したいのであって、異性との出会いが目的ではない」という方は、年齢や性別が悟られないようにうまく自己紹介しておくべきだと思います。

d) なにを自己紹介すべきか
一般的な自己紹介のパターンを見ますと、姓名(バンドルネーム)、住んでいる町、年齢、性別、「○○が好き」というパターンが圧倒的に多いと思います。あとは、相手側の国や言語に対する思い入れの理由など。性格的なこと、例えば「おとなしいです」とか「おっちょこちょいです」とか、もいいと思いますが、日本人の自己紹介には少ないように思います。

また、あらたまって自己紹介なんて照れくさい、という意識も働くものです。自分自身がどんな人間かについて公衆にさらすというのは、わたし自身も得意ではありません。

そのような方は、メール相手に対してどういうものを望むか、ということを書くといいのではと思います。大半の方には、普通にいけば相当数のメールが届くようになりますので、前もって相手を限定するという意味でも、相手に対する条件などを示すとよいと思います。例えば、相手は何歳くらいの異性がいい、みたいな記述はよく見かけますが、まれには、「わたしはアニメはきらいです」とか「他の人にも同じメッセージを送るような人には返事をしません」などといったメッセージを見かけたこともあります。また仕事等で忙しい方は、「すべての方にはお返事できないかも知れません」などと添えておくと、あとあとメールをたくさんもらうようになっても、心理的にずいぶん楽だと思います。いずれにせよ、multilingual networkでは、ある程度のメール数はもらえることを念頭に入れてメッセージを書くことがポイントだと思います。仮にメールがあまりに来ないようだったら、また新しいメッセージに書き直せばいいのです。

日本語ばっかりでたくさん自己紹介してもいっこうにかまわないのです。いずれにしても、「自分らしい」自己紹介にしておくことが一番です。また、日本語の場合は、「わかりやすい日本語」にしておくことが大切です。日本の方はどうも忘れがちですが、multilingual networkには、「日本語を勉強したい外国人」が集まってくるのです。彼らにとって、きちんとわかりやすい日本語で書いてあるかどうか、というのは、相手を探す上ですごく重要なポイントなのです。さすがに、日本語のかな漢字だけでの自己紹介なら、もらうメール数は少なくなると思いますけれど。また日本語もローマ字で書いてある方がより親切な印象を与えます。

また、英語で自己紹介することはmultilingual networkにおいては逆効果です。multilingual networkでは、いかなるサイトにも英語の表記はありません。multilingual networkに集まる外国人は、英語はどうも苦手、嫌い、好きでもなんでもないという方が多いと思います。また実際に、おもに英語で自己紹介をしている人にはメールはあまり来ないようで、特にドイツ語、フランス語はこの傾向が強いようです。そんな馬鹿な、とお思いの方は一度お試しいただけるといいでしょう。どうしても英語という方には、そういった方向けのサイトは世の中に星の数ほどあると思いますので、そちらの方をご利用ください。

逆に、自分の住所や電話番号等の個人情報、「必ず返事します」などは書かない方がいいでしょう。

e) 海外在住の方、海外旅行を予定の方へ
日本人の「書く側」で、海外在住である場合はその都市名を書いたり、海外旅行を予定の方でその行き先を書いたりすると、とりわけネイティブからのメールが集中するようです。「直接会おう」「異性と会いたい」というのが大きな目的であることは、まあ揺るがしがたい事実でしょう。もちろん、あなた自身も直接会ってみたいという気持ちでいっぱいというなら別にとめはしませんが、このようなメッセージは少し考えてから書いた方がいいと思います。「フランスに行く予定です」くらいならなんてことはないでしょうが、「パリに行きます、誰か会いませんか?」などというメッセージは、メールが相当来そうです。

メールでただ単にメッセージを交換することと、実際に会うということには大きな違いがあります。その分、大きな喜びになることもあるでしょうが、反面、予期せぬ出来事に巻き込まれる可能性がないともいえません。外国人に対して、保身的立場から相手をまず疑ってかかるというやり方は、わたし自身はあまり好きではありませんが、不安に感じる人で特に女性の方は、自己紹介メッセージにはこのような内容を含めない方が無難だと思います。実際のメール交換のなかで、相手を選んで話していけばいいと思います。

(本稿を書いたのは、2000年頃ではないかと思います。現在とはかなり時代背景が異なってきている部分と、現在にも通じている部分とが混在しているように思います。利用者のみなさまは、それぞれにお感じになったままに、本サイトをご利用いただけたらと存じます。)

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